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呼気分析装置とは?どうやって使われていくの?

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東芝は人の健康状態をモニタリングし、呼気中の微量ガスを分析する装置を用いて、病気の診断に有用な物質を人の息から分析する「呼気分析装置」を開発したそうです。

呼気分析装置は、東芝が従来から保有する半導体製造などの産業向けガス分析技術を応用したもので、人間の呼気に含まれる微量ガスの濃度を測定することが可能なんだそうです。

呼気から得られたガスの分析方法は、装置内に吹き込んだ呼気に赤外線レーザを照射、その吸収スペクトルから微量ガスを成分ごとに分離して検出するそうです。

装置のサイズについて、光源に量子カスケードレーザーを採用することで、据置型質量分析器と同等の測定精度をコンパクトサイズで実現したんだそうです。


呼気分析装置は、現在のところアセトアルデヒト(アルコール代謝)、アセトン(肥満、糖尿病)、メタン(腸内細菌代謝)を検出することができ、今後は、二酸化炭素同位体(同位体標識薬物代謝)、一酸化炭素(喫煙)、一酸化窒素(喘息)などを分析できるようにしていくそうです。

東芝は今後、早稲田大学に委託、新装置を活用して脂肪酸代謝に関する生理学評価を2014年4月1日から開始し、安静時、運動中の呼気に含まれるアセトン濃度と脂肪代謝との関係を評価、運動効果の指標とすることを目指すそうです。



呼気中ガス測定法の利点は、サンプル採取や検査自体に苦痛や不安が無いため、何度も採取・測定することです。

血液採取のように注射器を用いないため、特別な資格が不要で、自身でもサンプルを取ることが出来ます。
当然のことながら感染の心配もありません。




呼気中には多くのガス成分が存在し、代謝系疾患の診断に有用な可能性があり以前から注目されていたんだそうです。

微量ガスのうち、臨床上意味のありそうな成分としては、アセトン(糖尿病との関連)、一酸化炭素(喫煙などとの関連)、メタン(便秘との関連)、一酸化窒素(喘息との関連)、アンモニア(肝疾患との関連)、水素(乳糖不耐症との関連)が知られているんだとか。


では、今回紹介された呼気中ガスを一つずつ見ていきましょう。



アセトアルデヒド

アセトアルデヒドは二日酔いの有力な犯人として知られ、血液中のアルコールが肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)によって分解された中間代謝物質です。

このアセトアルデヒドは、更にアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により分解されて酢酸になり、最終的には炭酸ガスと水にまで分解されます。

アセトアルデヒド自体は、吐き気、呼吸促拍、心き亢進を起こすなど、アルコールよりも数倍も強い生体反応を起こす有害物質です。

ALDHの働きが悪いと、血液中に有害なアセトアルデヒドがいつまでも残ることとなります。




アセトン

アセトンはケトン体の一種で、体内で脂肪がエネルギー源として使われたときにできる物質。
糖尿病でインスリンの分泌が低下し、血糖コントロールが良好でないと、この物質が発生しやすくなります。
アセトンは揮発性なので、糖尿病で体内のアセトンが多いと呼気中に混ざります。




メタン

メタンは腸内の嫌気性菌によって作られ、おならとして出ると同時に血液に溶け込み、肺におけるガス交換を通じて、常時呼気に含まれます。

腸内の異常発酵は上記のように、直接呼気に影響し、過敏性大腸炎の人やおならが臭い人は、呼気自体におならが含まれることがあるんだそうです。




一酸化炭素


たばこの煙中の一酸化炭素は、体内に取り込まれたのち、血中の酸素運搬を妨害します。
また、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こします。
呼気中一酸化炭素濃度は、

禁煙者      0~7ppm
喫煙本数14本以下 8~14ppm
喫煙本数15~24本 15~24ppm
喫煙本数25~34本 25~34ppm
喫煙本数35本以上 35ppm以上

ちなみに、法律で定められた大気汚染に係る環境基準の上限値は10ppmです。
喫煙していると、大気汚染のひどい地域に住んでいるのと同じです。



一酸化窒素

1990年代海外において、ぜんそく患者は健康な人に比べ、呼気中の一酸化窒素濃度が上昇することが報告され、気道炎症の指標として一酸化窒素が注目されるようになりました。

それ以前は、炎症で増加する白血球の一種「好酸球」が喀痰(かんたん)中にどのくらい含まれているかを調べるていましたが、痰が出るのは患者の5%程度にすぎず、大半の患者には使えなかったそうです。


現在は呼気中一酸化窒素濃度測定装置を導入する医療機関も徐々に増え、今後、普及が見込まれているそうです。



二酸化炭素


呼気中に含まれる二酸化炭素濃度の測定について、動脈血中の二酸化炭素の量は、肺によるガス交換が十分に行われているか判断することができます。

また、この呼気ガス二酸化炭素濃度の測定は終了するのが早く、呼吸循環機能に障害が起きた際には真っ先に変化します。

そのため、心臓マッサージが効果的に行われているか、気道の確保が適切になされているかなどを評価する指標として、救急車内などの救急医療の世界でも用いられつつあります。




一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化炭素はまだ測定はできないそうですが、これらすべてのガス測定が可能となった場合、肝臓の働きや、糖尿病、腸内環境、喫煙、喘息、肺の状況が一度に分かってしまいますね。





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